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当家は寛文年間(1661年~1673年)、木地師発祥といわれる旧滋賀県永源寺町から旧岡山県奥津町千軒に入山土着した祖から木地業を受け継ぎ、初代の小椋利兵衛から数え第十三代目になる木地師が私(小椋芳之)となります。数多くいた中国山地美作地方の木地師の中で小椋姓の木地師は私だけとなりました。

木地師の歴史は古く、平安時代までさかのぼります。

始まりは平安時代貞観(860年)、木地師の祖神とされている文徳天皇第一皇子の惟喬親王が、滋賀県小椋荘で家臣に木彫りの食器を作らせたことだといわれています。そして親王側近の太政大臣、藤原実秀公が天皇より小椋姓と全国山々入山許可証を賜ったのを契機とし、小椋郷で生まれた木地師たちが夫々小椋姓と木地師免許証を持って全国各地に散り木地業を伝えました。
(写真は旧滋賀県永源寺町で行われた手引き轆轤再現の様子)

材料は、岡山県外の木材市場まで買いに行きます。中国山地やその近隣の山には私が求める広葉樹林の大木などが市場でほとんど出されなくなったためです。

市場には丸太から板木までありますが私は特に丸太を買います。丸太は木の中が見えないので慎重に選びます。外見は良くても、中は空洞になっていたり、思っていたほどの杢目がなかったり、虫がいることがあるからです。

杢目が沢山でそうな木は、木の肌が波になっていたりコブがついているものです。扱いにくい木もありますがそこにやりがいを感じることもあります。 木には様々な癖があるので木を見極める目が必要です。

写真は市場の様子です。

【木取り】

木取りとは製材した木を、製品に対して大きめに切り取ることです。丸太から板材にする場合、美しい木目(もくめ)を取り出す技術が必要です。

木地師小椋芳之の木取りについて
日本木地師学会からの報告(ホームページへ)

【荒繰り】

荒繰りとは木取りを行った後、茶櫃やお盆などの内側の要らない部分をろくろでくることです。これは、とても重労働です。

【乾燥】

私はすべて自然乾燥しています。乾燥にかかる期間は、木によって様々ですが二年~十年です。 木を乾燥させるという作業は簡単そうに見えますが、かなり気を使います。木は日があたりすぎても、風が強すぎても、湿気がありすぎても割れます。また、湿気が強すぎると腐ってしまうので程度が難しいです。 私なりに工夫していることは、木工ボンドを木の内側と外側に厚く塗ることで割れを防いでいます。

木地師の使う道具として、主に轆轤(ろくろ)と轆轤鉋(ろくろがんな)があります。これは扱う人が使いやすいように自分で作ります。私が父から教わったことは、自分が使う道具は自分で作るということです。

一つの製品を作るために、十数本の轆轤鉋を使い分けます。

轆轤鉋についてもう少し詳しく知る(ホームページへ)

荒ぐりした木を、轆轤で製品の形にしていきます。

この作業は簡単に見えてかなりの重労働です。挽いているときに刃物を安定させないと、轆轤の回転に力負けしてしまうからです。 もし力負けした場合、カンナが飛ばされたり、お盆がはずれて飛んでいってしまうので危険です。そうならない為に、刃物の角度や挽く位置・轆轤の回転を調整していきます。

それはとても難しいことで、長年の経験で養われていきます。私も幼い頃から轆轤を挽いていますが、何度も飛ばされた経験から得たものです。今では飛ばされることはありませんがいつも気をつけています。

当店の漆塗りは、「奥津千軒刻研出本漆塗(おくつせんげんぼりとぎだしほんうるしぬり)」といいます。これは中国山地美作地方の木地師の世界の中で特異な形で生まれ、そして継承されてきた技術です。 祖先が白木地のままでは汚れ、変形、割れなどが起こりやすいので、器の杢目が毎日使っていて汚れることのないよう、器面に漆を塗って幾年もその美しさを残そうと思案した漆塗の手法です。

当家の漆塗りの最大の特徴は下地作りにあります。下地の段階で一度塗った漆を拭き取った後、漆ととの粉を混ぜ合わせたものを塗り、乾燥したら水で研ぐ(洗い落とす)という過程を数回繰り返します。ですから木に漆を塗るのではなく、漆を木に染み込ませるというのが正しいかもしれません。

奥津千軒刻研出本漆塗の工程について詳しく知る(ホームページへ)
奥津千軒刻研出本漆塗ついて日本木地師学会からの報告

最後の仕事は販売です。

店だけではなく、年に数回作品展を行っています。また、掲載点数は少ないですが、オンラインショップで通信販売もしています。注文が入ると発送準備をします。

作品展は岡山県内の倉敷・岡山・津山を中心に行っています。轆轤挽きの実演や工芸展入選作品の展示、広盆の展示(1mほどの丸盆)・轆轤鉋の製作風景(自作ビデオ)の他、漆器製品・白木地仕上げ製品などを多数販売しています。

木工製品がお好きな方、木地師の仕事に興味のある方は是非、作品展にお越しください。お待ちしています。

※当店へ来店される方で、仕事の見学のみを希望される方は作品展へお越し下さいますようお願いいたします。

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